『甲賀忍法帖』
おもすれー。ゲームとしての悲哀と楽しみがあるな!
『エル・スール』
完成度高い!
演者、風景、台詞、演出、物語がきれいに折り重なっていて、とても楽しめた。
主観的な情景、心象が多く語られるから、折に触れての父親を媒介にした外部との関わりがとても面白いし、テンポをつくってていい。全体に起伏がなくて閉ざされた世界だけど、その心地よさとともに、常に風穴があって空気がゆっくり入れ替わっていく感覚が味わえた。そしてそれは、自分の成長とともに歴史を知っていく過程だ。
父親には少女が知らない物語があり、またそれはスペイン内戦という歴史が反映されている。父親の物語を知っていきながら、少女はスペインの歴史を知っていくことになる。父親の死はまさにその物語が歴史の中に包摂されていったことを象徴しているように思う。
少女が住む邸とそれを取り巻く美しい木々は、ノスタルジックなユートピアだけど、それは実際には閉ざされていることを許されず、社会に開かれざるを得ない。この乗り越えは、つらさを伴うこともあるだろうけど、原理的に主観的な物語(人生)が存在し得ない以上、避けられないし、阿部謹也が「自分のなかに歴史を読む」といったように、積極的な意味で知っていかなければならないのだろう。
『ジョゼと虎と魚たち』
なんだこの不安定感。自分の願望と、ドキュメンタリー的な部分と映画的な想像力がごちゃごちゃになる感じ。たぶん健常者と障害者の彼我の差を、適当な物語に回収しなかったからなのだろう。まあともかく、この映画観たら現実に戻って考えて生きようってことだ。
セックスとかなしバージョンが観たかった気もするけど、これが現実なのか? でも映画ならもっと他の描き方もあるんじゃないのか? とか思ったりもした。なんか映画として美しくない。演出に叙情がないせいかもしれん。それも排除しようと意図したのなら、わかるけど後続の映画との関連で観るしかない。ステレオタイプを排除するための、過渡期的な痛みの映画なのかもしれない。
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