『昼顔』
ドヌーヴ、あんま好きじゃないな。だってかわいくない……。
特にラストがそうだけど、現実と幻想(反現実としての夢)と
妄想(理想的な現実としての夢)が多義的に解釈できるのは
面白かった。
『勝手にしやがれ』
面白くなくてもよさそうなのに、面白い。
かっこいい。
『アンダルシアの犬』
わけわかんないけど、面白かった。
『ゆきゆきて、神軍』
面白かったというのも変だけど、面白かった。
ここに描かれる、過剰なまでに正直に、戦争の事実を求める
奥崎健三の生き方は、全てを首肯することはできないが、
良くも悪くも「戦争責任」を貫徹しようとするその態度と情熱には、
驚嘆せずにはいられない。
戦争中の残虐行為への加担は、墓場まで持っていくべきもの
もあるだろうし、語らなければならないものもあるのだろうが、
実際は全てを語らない方を選択しがちであるのはしょうがない。
そりゃ言いたくないし、言えないよ。
そんななか奥崎は全てを語らせ、結局それを自身の手で断罪
しようとしてしまう。その方法は暴力を伴うものだし、奥崎の
正義による一方向的な暴露であるから、それが正しいとは言え
ない。ただ、語りたがらないものの中にも語るべきことは
あるし、それを語らせることができる人はなかなかいない。た
ぶん、多くの人は「大変だったんですね」と、語り手に同情しつつ
その話を鵜呑みにしてしまうし、してしまわざるを得ないのでは。
だから、奥崎は個人としては暴力的だし自己中心的でほとんど
気違いのような人だと言えるけど、集合的な人間というレベルでは
そう簡単には否定できる存在ではない。
やっぱり中庸が一番、なんて思うけど、こんな極端にならざるを
得ない局面はあるのかね。
PR