『バケモノの子』
面白かった。が、単純な面白さではなかった。
台詞とか子供意識してるからか微妙なラインのむずむずするようなものが多かった気がするけど、わざとかしら。特に前半は時間の流れがちぐはぐな印象で物足りなさを感じさせるけど、それがあえてなのか知りたいな。物足りなさもある種のポジティブな効果になりうると思うし(この作品がその点で成功してたのかはよくわからん。少なくともその種類の面白さの兆しはあった)。
世界観もいろいろミックスしているが、その混ぜ方が微妙というのか絶妙というのか。あんまり細田守知らないから作風とかよくわからないけど、素人の稚拙だけどどこか魅力ある混ぜ方をバランスよく(完璧に、という意味ではない)編集してる感じ。
あと、やっぱり幸か不幸か最近の作品はネット批評的なものを前提にせざるを得ないのか、という疑問も生まれた。その手の議論をあまり知らないからあれだけど、消費のスタイルとしてネットで作品の感想をすぐに共有し、共感するというのが楽しみ方になっているが、それがついに作り手の意識(あるいは無意識)にも反映されているのを強く感じる。
読み手の読み方を先取りするのは多分いつでも程度の差はあれあると思うが、先取りするのが"素人の感想"でも"玄人の批評"でもなく、無名の批評家(気取り、といって過言ではない)のオタク的な論評になっているところが、いいんだかわるいんだか。
観ているときに、既にネットでいろいろ語られてるんだろうな、ということが脳裏によぎったが、それは気持ち悪い感覚だった。突き抜けなきゃ。
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